骨粗鬆症とは、骨の量と質の劣化により、骨の強度が低下し、骨折しやすくなる状態です。健康な方は、骨をつくること(骨形成)と骨を壊すこと(骨吸収)のバランスが保たれていますが、そのバランスが崩れて、骨の形成より吸収のほうが上回ることで、骨の量が減っていきます。
骨粗鬆症が進行すると背中が丸くなったり、腰が曲がってきて、背丈が縮んできます。また、背中や腰が痛くなり、軽微な外力で骨折するようになります。
最初は自覚症状があまりなく、骨折してから診断されることも多いです。特に背骨の骨折は自覚症状がないことが少なくないので注意が必要です。
背骨は一度骨折するとさらに骨折する危険性が高まるために、いかにして骨折の再発を予防するかが大切です。
骨粗鬆症になりやすい方は、更年期をすぎた女性(閉経後に女性ホルモンが減少し、骨を吸収する量が増えて骨粗鬆症になる)、高齢者(骨を壊すはたらきが強まって、腸でのカルシウム吸収も落ちることで骨粗鬆症になる)、食生活が偏っている(カルシウム摂取が不足する)、日光浴不足(腸からのカルシウム吸収を助けるビタミンDが不足する)、運動や体を動かさない人などです。
当院では、踵骨の骨密度を超音波で計測しています。また、血液検査で骨代謝マーカーを測定して、骨の新陳代謝のバランスを調べます。
骨粗鬆症が原因で骨折した場合、いずれの骨折でも手術が必要になることがあります。特に背骨の骨折では麻痺の原因になることもあります。背骨の骨折や足の付け根の骨折では日常生活動作の低下により、介護保険の要介護認定で要介護となったり、寝たきりの原因となることがあります。
骨粗鬆症による骨折を防ぐためには、食事を見直し、適度な運動量を増やすことも大切です。
骨量が大幅に少なく、骨折の危険性が高い場合や、食事や運動で十分に骨粗鬆症の状態が改善しない場合は、薬による治療も合わせて行います。治療薬には、骨吸収を抑制する薬や骨形成を促進する薬があります。骨の吸収が進んでいる人には、吸収を抑える作用のある薬を使用し、骨の形成が進みにくい人には、形成を促進する薬を使用したり、骨の新陳代謝の状態に合わせて薬を選択します。
どのような薬を選択する必要があるかは、整形外科医の診察を受けることをお勧めします。